いやぁ今年ももう残り現場少なくなってきたな~今年も楽しかったな~なんて早くも締める気持ちでいたら、頭を思いっっっっきりぶん殴られてしまった。公演中に叫びそうになって口を押えて、ちょうどいいタイミングとか忘れてカテコで立ち上がって、良すぎて帰り道を無意味にうろうろ徘徊して、そのまま知らんビルの陰でスケジュール見ながら各種チケットサイトを叩いて余ってる分を片っ端から追加して、そういう経験を今年初めてした。
舞台「ツダマンの世界」があまりにも良かったので、布教ブログです。
とはいえ、すべての人に刺さる舞台じゃない。全員刺さなきゃいけないなら私は今すぐ「薔薇とサムライ2」*1の話をします。あれを嫌いな人類はいないので。
けど1000人に観せたらたった1人だけがアナフィラキシーショックでぶっ倒れて死ぬ可能性がある、そんな舞台だからこそ「過去」とか「性癖」とか何かしらのアレルゲンを持っているのにこの舞台をマークしてないあなたに届けたくて。なるべくネタバレしないように気を付けながらこのブログを書きました。何で観てほしいかというと、私が感想を吸いたいからです。感想を吸いたいからです!!!感想を吸いたいからです!!!!!ちょっと今回、観に行ってるフォロワーが少なすぎる、助けてくれ。観劇おたくのみんなたち、ツダマンの話を聞かせてくれよ~~~!!!ポスタービジュアルからは想像できない、笑える泥沼愛憎文学劇を語ろうぜ~~~!!!
まあ、とはいえ「個人が思うおすすめポイント、感想」なので合わなくても大目に見ーーーてね!!!あと、勢いだけで書いたからおかしな日本語も大目に見ーーーてね!!!
【公演情報】
「ツダマンの世界」
●2022/11/23(水・祝)~12/18(日) 東京・シアターコクーン
※配信:2022/12/07(水) 18:00公演
●2022/12/23(金)~12/29(木) 京都・ロームシアター京都メインホール
作・演出:松尾スズキ
公式サイト:https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/22_tsudaman/
とりあえず観劇直後の私のツイート貼っておきます。
松尾スズキ2年ぶりの新作、ツダマンの世界が超絶良すぎた…………帰りにポスター取ろうと思ったのに朦朧として忘れたので何もないです。良すぎた。感想はbioにある感想用の鍵垢で垂れ流してます。
— しおりん (@_shioring_) 2022年11月23日
「ツダマンの世界」、太宰治をグーパンで殴って首輪つけて散歩したい女におすすめです
— しおりん (@_shioring_) 2022年11月23日
ツダマンの世界、太宰治を始めとするあと時代の作家をグーパンで殴りたいと思ったことある女におすすめだよ。グーパンで殴ったあと丸め込まれてセックスしちゃう女にはもっとおすすめだよ。
— しおりん (@_shioring_) 2022年11月24日
以下、目次です。
こんな人におすすめ
①文学や音楽などに傾倒している男に騙されたり遊ばれたりしたことがある女
まあ、ぶっちゃけ私がこれなんだよね!!!しかも2回も!!!
と、いうのはさておき、ああいう人間ってその身から生み出されるものは美しくて目が眩んでしまって、なのに創作する以外の行為は割とゴミクズだし、文化は愛せるのに女は愛せず、愛せないのに甘えて寄りかかってきて、寄りかかられると嬉しくなって、嬉しくなったらやっぱり邪険にされて殺したくなって、このまま電車飛び込めば好きも嫌いもなくなって超楽なのでは?とか思って……書いてて死にたくなりましたさようなら。そういう男の養分、たくさん吸えます。同じように死にたくなった人は、泡吹いたり苦しくなったりしながらも胸がぎゅうってなって手を伸ばしたくなって、どうにもならないので空に向かって大声出したくなる"あの気持ち"を共有しましょう。…………なつかしいな。殺せ。
②ゴミクズなキャラを愛しちゃうおたく
一生ギャグマンガのテンションで底辺クズ(※ただし大悪党ではない)のドブ倫理観泥沼愛憎文学劇が繰り広げられる。出てくる人間全員クズ、根っからの良い人なんて存在しない。でもカッコ書きの中がすごく大事で、大悪党も出てこない。とにかく全員性根が腐った小市民、更にコンプライアンスなど存在しなかった戦前~戦後の話なので倫理観もドブ。欲望と絶望が物語のエンジンでドクズが自他をないがしろにして戦争とセックスばかりしている話なのに、なぜか登場人物全員キュートでたまらなく愛おしくなってしまう。空洞の道化・阿部サダヲ、自分なくしヒロイン・吉田羊、KYイケメンボンボン・間宮祥太郎、酒!女!薬!の大先生・皆川猿時、地獄の三丁目案内人・江口のりこ……本当にみんな可愛いの、抱きしめたくなるの。
いっぱい本を読みました。昭和の時代の作品です。調べれば調べるほど昭和の文豪たちは、コンプライアンスとはほど遠い世界を生きておりました。
わたしも無頼と呼ばれた時代もありましたが、さすがにここまでのことはない。
インテリジェンスと野蛮が混在した昭和の文化人たち、それを支えたり振り回されたりする人々の、滑稽で、かつ、ひたむきで、悲惨な姿を、ご堪能ください。
引用:
滑稽で、ひたむきで、悲惨な姿をご堪能あれ!松尾スズキ「ツダマンの世界」開幕(舞台写真 / コメントあり) - ステージナタリー
この松尾スズキのコメント、超絶最高じゃない!?!?!?いっぱい笑って、ちょっとだけ引いて、やっぱり笑って。情けない登場人物を否定しながら愛そうぜ。
③近代文学、特にモダニズムあたりや無頼派など、特に井伏太宰が好き
井伏鱒二と太宰の関係をベースにした悲喜劇、松尾スズキさん作・演出の舞台「ツダマンの世界」のプログラムに解説を書かせて頂きました。
— 進士 素丸 (@shinjisumaru) 2022年11月25日
井伏と太宰以外にも文豪ネタが多数散りばめられており、フォロワーの皆さんはより楽しめるかもしれません。渋谷Bunkamuraシアターコクーンにて絶賛公演中です。 pic.twitter.com/NyEyrl1w4g
関係者のツイートにあったので、これはどうやらネタバレとかでなくオープン情報らしい。そうです井伏のサダヲ、太宰の間宮がベースです。(あくまでベースなので完全にその役とかでなく、色んなエピソードが登場人物に振られています、猿時さんにも若干井伏の要素がある気がする知らんけど)この情報の時点で死ぬ人間おるやろ?????会ってくれなかったら死にます、返事をくれなかったら死にます、弟子にしてくれなかったら死にます、井伏さんは悪人です、でお馴染みの文豪2名です。
もちろん、渋めの和服着て眼鏡かけて無表情でいる阿部サダヲも最高なんだけど、やっぱ間宮の太宰とかどう考えても致死量だよね!?(※個人の性癖です)地方の金持ちの生まれ、何年も留年して仕送りせしめてる放蕩息子、背が高い溌溂イケメンでモテる、セックスが上手くて女にだらしない、だからコンプレックスを刺激するので男からは嫌われる、ナチュラルボーン"持ちすぎ奴"なので他人を見下し空気が読めない発言が多い、死にたがり、何事も人のせいにして自省しない、なのに甘え上手って役を間宮にやらせるなんて!!!最低!!!最悪!!!最高!!!!!(おたく特有の早口)間宮祥太郎から受け取れる溌溂・生まれついて恵まれた人間の健やかさをこんな風に活用するなんて、松尾ちゃんは悪魔だ…………好きだ…………悪魔だ…………感謝。そして間宮芝居が上手い、好き。
その他にもあの時代の文学小ネタがいっぱい散りばめられている!!!日本文学科卒業のくせに近代文学にそこまで明るくない私ですら、めっちゃ面白かった。間宮祥太郎演じる葉蔵*2が実在の小説家の悪口(というかリアルゴミエピソード)を講談のように捲し立てるシーンとかめっちゃ気持ちよくて面白いです。分かる~~~!!!ってなるよ。まじで私に教養がもっとあれば、学がもっとあれば、絶対に何倍も楽しめるのに!!!悔しい!!!!!
④ずぶずぶ共依存関係に興奮するおたく
共依存っていいですよね…………………生まれたときから関係性のおたく、今回も関係性で死んでる。③にも書いた通り師弟関係が描かれています。
これはネタバレとかでなく単なる井伏と太宰の"""史実"""なんで作品と関係ない部分も多いんですが、最初太宰は井伏の作品に感動して手紙を送るんですけどそのたびに相手の気持ちや都合も考えず「会ってくれなきゃ死ぬ」とかのたまうんですよ。でも井伏は応じてあげてる。それだけじゃなく、旅先でした借金を肩代わりしたり盲腸の手術に立ち会って内臓見てあげたり薬物中毒になったら入院させてあげたり生活が立て直せるように嫁の世話までしてあげる。身勝手な太宰にとにかく尽くしてあげてる。これって一見太宰がいい思いばかりして井伏は苦労しているように見えるけど、才能のある者に尽くす・振り回される快楽って存在するじゃないですか!?しかもそれをきちんと上手に与えてあげられる人間って多くはないんだよね。反対にこの人はどこまで許してくれるんだろう許してくれるのは世話好きなのか愛なのかっていう不安もあるじゃないですか…………うっっっ。ましてや二人は文壇で競うライバルでもあるんですよ。自分が一生得られない焦がれている性質から得られる劣等感って、創作に莫大なえエネルギーを与えることって………………………………ね?ここまで言えば関係性を食べて生きてる妖怪たちには伝わっちゃうよね???
史実の関係を材料にフィクションという調味料で味付けをし、一流の劇作・演出家が料理した美味しいご飯、劇場で食べられますよ。
もちろん師弟の関係だけでなく、夫妻の歪んだつがい関係も、地獄の親友交歓も、創作に根深い義母との機能不全親子関係も、ツダマンを取り巻く人間関係がめちゃくちゃ魅力的で、まちまちの温度と湿度で絡みついて脳のそこかしらに効きます。
そしてこれは①にも④にも纏わる話だけど、搾取されるのも振り回されるのも傷つけられるのも一種の快楽あるよね?????????この質問に秒速である!!!!!って答えた人間、ツダマンを楽しむ適性がめっちゃあると思う。ストレスを与えて育てた果物が甘くなるように、苦痛からしか得られない気持ちよさってあると思うのよ。登場人物たちが「ストレスばかり与えられるのに相手から離れられない」的な関係性を築いている部分を見て共感性羞恥的なものを感じて悶えそうになったり、やめちまえーーーーって説教してぶち壊したくなるのに、蕩けるような気持ちよさも同時に感じちゃうんだよね……。そう、これも一種の自傷の快楽、俺はツダマンを観る度に自傷をしている……気持ちいいね!!!!!!!!!!
⑤強ぇ女を見ると拳を振り上げて喜んじゃうおたく
今まで男の話ばっかしてたけどさ、まあ~~~~~~~~~~出てくる女、全員最高なわけよ。女が好きな女だし、男も当たり前みたいに好きな女なんよ。迷うな?セクシーなのキュートなのどっちが好き………………っていやいや全員キュートだしセクシーだしアホみたいにカッコイイが!?!?!?!?みたいな*3。
本当に観終わった後に友達と、吉田羊・江口のりこのどっちを抱くかor誰に抱かれるかで酒が飲めてしまう……私は江口のりこを抱きたい……。何が最高かってきちんと「あの時代=戦中戦後」を生きた最高の女だってこと。とても良いことなんだけど、最近の作品は令和ナイズされててコンプライアンスもしっかりしてて価値観だって今に馴染んだカッコイイ女性しか出てこない。コンプラを気にして過去の女性もマイルドに描かれがち。だけど、女性が虐げられ搾取されまくったあの時代の価値観のまま、カッコイイ最高女ばかり出出てくる。ラストシーンのバチバチギラギラびかびかした女の生命力、浴びたら寿命が延びますよ。つらいのは拳を振り上げられないことだけ。振り上げてぇよ。
とりあえずみんな、観終わったら吉田羊・江口のりこのどっちを抱くかor誰に抱かれるか語りましょうか。
⑥太宰治をグーパンで殴りたい女、グーパンで殴ったけどそのまま絆されてセックスしちゃう女、そのままどこにも行かないように首輪をつけて私のものですとわかるように散歩をしたい女
観ろ。お前だけは観てくれ。
最後に……チケット・配信情報
チケット、前売りすべて完売している。焼け野原である。
なので、これからチケットをGETする手段を書いておきます。まだ増やしてる私と一緒に戦いましょう。
①配信
リアルに越したことはないが、とりあえず確実に観ることだけはできるぞ!合うか不安な人もこれで試そうね。ただ、アーカイブはないので注意。方法は3種。
WOWOWオンデマンド
WOWOW加入者は無料、大勝利。
https://wod.wowow.co.jp/content/119540
MY Bunkamura
https://my.bunkamura.co.jp/ticket/ProgramDetail/index/4166
イープラス「Streaming+」
どちらもイベント割対象なので4,000円→3,200円。ありがてぇ。
②チケトレ(公式)
チケトレ、結構頻繁に出品されるが瞬殺なのでアラーム入れたりちょこちょこ見行くのがおすすめ。私もここで狩った買った。
③ぴあのリセール(公式)
ぴあのリセールはまだ出逢えてないけど、大人計画先行枠はぴあで、そのリセール分は大人計画会員だけが拾えたりする。これもアラート登録してるとメールが来ます。
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2222662
④当日券
シアターコクーンの当日券は前日の電話・先着順です。詳しくはリンクを読んで。
ちゃんと読んだ?実は最後の方まで読むとこんなことが書いてあります。
8.当日、整理番号をお持ちの方が終了し残席がある場合のみ、直接販売いたします。
電話の時点で完売してたらないけど、電話かけられなかった~完売してるか分からね~って場合は、もしかして余ってれば売ってもらえるかもしれない。一縷の望みを託して現場に行くという賭けもアリ。
⑤根性
まあ、でもね、"""ないチケット"""なんてこの世に本当に一握りなんですわ。最後は根性。おけぴ*4なり、Twitterなりで根気よく探せば出逢えないことはない気もします。このご時世なんで当日行けなくなったりってのもあるしね!
さいごに
まあ、色々言ったけどとにかく超面白い。役者は上手い、舞台演出も素敵、衣装はかわいい、劇中歌も癖になる、そして何より本当に戯曲が良い。コンプライアンスを無視してあの時代を切り取って来たかのような突き抜けた雰囲気、カラっとした笑いとぬるっとした手触りの情念のバランスがいいんですよ。人の中に眠るありとあらゆる欲と癖を擽ってくるというか、まじで性癖のリトマス試験紙みたいな舞台です。って言ったら、しおりさん色変わりすぎてもう元の紙の色見えないでしょって言われた。そ、そ、そうだね…………恥の多い生涯を送っている。
もう言うことはありません。あとは手持ちのチケットが全て尽きたら、ネタバレとか関係なく感想をまとめます。絶対にまとめる。好きなところを残しておきたい。
ああ~~~~~~~ツダマンの世界、ほんと!!!好きだ!!!!!興奮して立ち上がらないように己の体を掻き抱きながら、あのラストシーンを観られる限り何回でも観ようと思います。
あ、このブログを読んだ人で東京千穐楽の1Fセンターブロックと、京都千穐楽のチケット、各1枚余ってる人は連絡ください(ブログの締めでチケ募集すな)
観劇おたくのみんなたち、12/11までアンケートやってるからよかったら投票してね。
いま600票くらい集まってるよ。
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