しおりん日記

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【ネタバレ有】「偽義経冥界歌」が金沢であまりにも進化していたから感想を残しておく

 ねぇ、面白すぎるんですけど!?!?

 大阪でもハチャメチャに面白くて、初日にしてクライマックス!千秋楽でも当然クライマックス!だった劇団☆新感線39興業「偽義経冥界歌」ですが、金沢公演入ったら面白さ天元突破グレガラン(中島かずきだけに)*1って感じだったので、感想を書き残しておきます。何故なら、松本公演は更に進化していると思うから!!!思うっていうか最早確信!!!

 見る予定のない人は学校会社を焼き払ってでも来てほしいし、東京福岡公演まで待つ予定だった人は親を質に入れても橋本じゅん弁慶と新谷真弓くくりを見てほしいし、大阪公演見た人にも恐ろしい進化を肌で感じてほしいから来てほしい。とにかくみんな松本の冥界で一緒に歌おうぜ!!!

 

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柱と壁の模様のせいで歪みを感じる金沢歌劇座

 

 大阪公演初日後のブログ。

【ネタバレなし】

shioring78.hatenablog.com

【ネタバレあり】 

shioring78.hatenablog.com

 

 以下、ネタバレ有の金沢感想ですです。

 

 

 

金沢公演キャスト感想

奥華玄久郎国衡・源九郎義経 / 生田斗真

 最初から本当に主人公パワーが炸裂していて、陽イオン出まくりだったんだけどキラキラが更にマシマシだった。金沢から客席を使った演出が追加されていて、たまたま近くを生田さんが通られたんですけどマジで太陽フレアって感じだった。あまりにもオーラの爆発が強すぎる。ぶわって熱風が通り過ぎた感じがするの、マジでやばい。というか、あまりの高貴さと尊さと眩しさに思わず拝みそうになってしまった。ありがたやありがたや。

 フォロワーさんに教えて頂いて、金沢ではラストの冥界に消えていくところにかなり注目して見たんだけど、みんなの方を見ているときは優しい笑顔なのに白もやに消えゆく直前はふーっと表情が消えて遠くを見るんだよね。あの顔が本当に切なくて大好き。美の頂上。黄泉津の言葉が真実であるなら、木乃伊を黄金に変成せずに燃やせば、冥界の魂は昇天せず地獄に行く」んですよ。つまり、玄久郎の、行きつく先、は……ウッッッ!!!このことを頭に入れて見る金沢、本当にエモとしんどさが混じりすぎて心臓痛かった……だからこそ静歌の「九郎、天に昇れ」という歌は切なく重たく尊い祈りなんですよね。偽義経、すごすぎる……。

 最初から完全完璧で生田斗真って本当にやべぇなって感じだったんですけど、金沢は大阪より更に前半のお馬鹿さと後半の真っ直ぐなヒーローっぷりの対比が最高になってたなぁ。あと「まっずい山葡萄」の言い方のニュアンスも場面によって繊細に違って……この辺はもっと松本でちゃんと見たいとこ!!!

 

黄泉津の方 / りょう

 キュートさが増してて女が好きな女っぷりが上がっていた……!「もーう!」の言い方は甘え声で可愛いし、十三叔父さんとのぴょんぴょん飛びもぴょんぴょんっぷりが上がってたし、「出べそでは、ない!!!!!」し、くくりの膝枕にはガッツポーズ5回くらいしちゃうし!!!とにかく可愛い……。金沢、身固めの封印から「奥華の巫女長の予言だ。侮るでない」までの一連の迫力が本当に増していて、巫女として生きた女の心意気にぞくぞくしたし、だからこそそのあとのくくりとのシーンの一人の女性としての黄泉津が際立って本当に泣けてしまった。っていうかどこを切り取っても最高なので、相変わらず文字数と気持ちが釣り合いません!!!見て!!!

 

くくり/新谷真弓

 金沢で最もガンガンに芝居で殴ってくれた人。台詞のない瞬間の些細な目線や体の動きでガンガンに感情を響かせてくるから、くくりを見ざるを得なかったシーンがいくつもある。視線がダイソン並みの強烈な吸引力で吸い込まれていく。特に初登場の黄金大往生ダンスシーン、あまりにもやばかった。目線の配り方が凄すぎて周りが目に入らないくらい、くくりしか見えなかったんですよ。絶対に違うんだけど、私とだけ目が合って私だけに奥華の秘密を打ち明けてくれているような、そんな錯覚に陥る目線。あれ、どんな魔法なんだ!?息をするのを忘れてくくりだけを見ていたところに巫女を割り割くように響く凛とした黄泉津の声が幻想的で、マーーージで忘れられない演劇体験。

 表情も大阪以上にくるくる変わるようになっていて本当にくくりの気持ちとか感情の機微が細かに感じられて本当に本当に好きだった。黄泉津と一緒に怒ったり威嚇したり相手を挑発したり、台詞がなくても表情と仕草だけで面白いくらいに伝わってくるとこが増えてて見ているのが超楽しかったし可愛かった。足取り一つでも「ルンルン♪」とか「やきもき」とか「燃える怒り」とか漫画みたいに伝わってきて、本当に本当に凄かった。いや、語彙力なくてアレなんだけどほんとーーーに凄かったの!!!

 あと、金沢は会場の音響が大阪に比べてあまり良くなくて、結構色んな役者さんの台詞が聞き取りづらい瞬間があったんだけど、新谷さんだけは一度もなかった。声優をしている方の超絶技巧な滑舌に感動したよ!!!!!

 とにもかくにも新谷さんのくくりがあまりにも大好きで最高なので、東京福岡だけの人に何とか見てもらいたい*2……どうしたらいいですか!?!?それにあと5回だけしか見られないなんてつらすぎる……どうしたらいいですか!?!?何かもう、2020年東京福岡のくくりは双子って設定とかにしません!?!?!?(無理です) 

 

奧華次郎泰衡 / 中山優馬

 大阪から金沢で断っっっっトツで良くなってて驚いた人。あと顔がいつでも良い。常に神作画。大阪での次郎は「いやいや大陸の王とか、冗談は村木よし子さんですよ!」って感じだったんだけど、金沢の次郎は「こりゃ頑張ったら大陸の王になれちゃうんでは!?!?」って思わせられるくらい強い子になってた。ミロ*3でも飲んだ?歌のピッチも相当良くなってたし、会話のテンポも良くなってたし、声量も上がったし、ギャグパートのIQがすごい下がって真面目さとのメリハリが面白くなってたし、殺陣もすっごく良くなって牛若ゆっくんさんが明確にスピードを上げて相手をしていてそれに踏ん張ってついていってたし、何より頼朝を叱るとこ!!!あそこのパワーがとっても破裂型になってた。次郎って感情を爆発させるシーンが「父を殺した苦悩を兄にぶつけるとこ」と「頼朝を叱るとこ」くらいな気がするんですよ。父を殺したところは闇落ちモードだったんでイケイケだったけど、「対頼朝のシーン」はどうしても大阪では説得力がない薄味を感じてしまっていて……でも金沢はここに滅びの覚悟をめちゃめちゃに感じてすごいエモかった……。あそこは頼朝を叱るのはもちろんだけど、奥華の血が滅ぶことを受け入れるっていうとこも肝だって個人的には思っていて、あの天才的に美しいお顔が強く儚い決意に歪むのマーーージで芸術作品だった……最高。ありがとう中山家の遺伝子。

 あと、何億回でも言うんですけど中山次郎優馬くん、葬儀のシーンでの闇落ちメイクが死ぬほど似合っていて良顔面最大風速を観測する顔面黄金大往生シーンとなっておりますので、これから観劇の皆様は絶対にお見逃しなく!!!このメイクは葬儀シーンだけだよ!!!

 というか私、この度は完全に「奥華の弟合わせ鏡」が頭がおかしくなりそうなくらいにツボっておりますので、この辺はまた後述します。

 

静歌 / 藤原さくら

  嗚呼、真っ白だった静歌が山葡萄の気持ちをしってしまった……(褒めてます)大阪での静歌は「んなんじゃない。でもそうだったのかな」で、とにかく純粋無垢で混じり気がなくて透明で真っ直ぐだった印象なんですけど、金沢の静歌は「そんなんじゃない。でもそうだったのかな」に変わっていたんですよ。ええ、九郎への気持ちの話です。まるで幼子のように強すぎる真っ直ぐさに甘やかな柔らかさと切なさが加わって、山葡萄の女の子になっていた……。特にそれを感じたのがラストの歌。九郎と二人目を合わせて歌うシーンが戦友の二人から山葡萄の二人に顔つきが変わたように感じたんですよ!何というか、ラブに限りなく近い何かが極まっていた……。静歌の紅潮した頬と潤んだ瞳、そして掠れた声がとてもとても印象的だったなぁ。伝えたい気持ちをすべて歌と祈りに変えることを知った静歌は、立派な奥華の巫女を継ぐ者なのかもしれない。血の繋がりが強調される物語だけど、継がれていくのは血だけではなく、黄泉津の巫女としての流れが僅かでも静歌の中で息づいていくって思うと最高すぎて震えてしまうよ。

  

遮那王牛若 / 早乙女友貴

 義経のガチャ。見る回で微妙に違うとこを配置してきてるよね?牛若ちゃん、金沢でちょっと年齢下がったっていうかきゃんきゃんっぷりが増してきて、何か分からないけど近所のポメラニアンを思い出してしまう。

 ところで、明らかに殺陣の手加減がなくなってきていて最高ですね!?!?冒頭の対優馬は明らかにスピード上げて優馬の底力を導いているし、監督*4やアンサンブルさんとの殺陣は容赦が無さすぎるくらいガンガン刀身噛み合ってる感じするし、斗真との殺陣は最早見えないレベルに早い……これが噂に聞く「アニメーターさんが過労死」*5まではいかないけど、「アニメーターさんが5徹」くらいまではいってそう。既に動体視力が追いつきません!

 言いたいことはほとんど前回のブログで書いてしまったので文章量が少ないけど、牛若ちゃんは特に二次元のヲタクを皆殺しにする最終兵器彼女なので、とっても可愛くて大好きです。

 

武蔵坊弁慶 / 橋本じゅん 

常陸海尊 / 山内圭哉

 みんなどこかしらパワーアップした!すごい!って思った金沢公演だけど、逆に変わらなさをすごいと思ったのがこの二人です。っていうか初日から出力100だったから分かりづらいけど、初日から出力100で何時でも出力100でいられることって本当に超凄いよね。ペースもテンポも崩れない二人だから、周りは安心して新しいことに挑戦できると思うし、何かあってもこの二人がお客さんの空気を戻してくれる。説明役ってアクも少ないし遊べないけど、本当におもしろ欲を出さずに忠実に職務を全うすることって難しいんじゃないかと思うので、毎度二人にグッときちゃう。だって個性で殴るほうが簡単だから……。

 細かい変化で言うと、大阪後半からのじゅんさんの「ラスト九郎を見送るときに泣いている」お芝居がめちゃくちゃに好きです。あそこで泣かされてしまう。大きな弁慶の背中が小さく震えていて、九郎を愛した弁慶の気持ちがあの小さな震えだけで伝わってしまうの本当に技の極みって感じだ。金沢では周りの芝居の熱気に煽られてじゅんさん弁慶の「我々人間にも折れぬ意地がある」の啖呵が本当にめちゃくちゃ熱度が高く男前で、大好きな傾(かぶ)くじゅんさんを感じられて気持ちが良かった!!!大好き!!!

 

奧華秀衡 / 橋本さとし

 もーーーーー超最高だったーーーーー!!!!!迫力と熱量が人間を超えてて舞台の上の物の怪だったよーーーーー!!!!!前半のチャーミングなおじさんが嘘のように、後半の腹の底に重たく溜まっていくような闇落ち台詞が迫力に満ちていていつの間にかお腹を押さえながら見ていた……。内臓が恐怖でググってなるんですよ。悪意に背筋が泡立つような。秀衡の持つ悪意って人間の悪意、というか本音と欲望が煮詰まって凝り固まった感じで、生々しくて怖いんだよなぁ。「ちがーう!ちがうよー!」の可愛いおじさんと同一人物だと思えないよ……。あと、表情の作り方が凄く細かくて、金沢は本当に顔芸の達人って感じだった(褒めてます)特に地獄の軍団以降、大阪で見ていた倍以上オペラで抜いてしまった。

 いや、本当に凄いって言葉しか出てこなくて興奮と文章量がやっぱり比例しなけど、サトシハシモト超凄すぎて何つーか視線をどんどん盗まれてしまうよ……。でもサトシハシモトを語ろうとすると頭の中に小田和正が流れるんだ……聴いてください、「言葉にできない」

 

地獄の軍団(清衡/村木仁・基衡/吉田メタル・干殻火さん / インディ高橋)

 実は大阪の時点でイマイチ世間の波ほどに地獄の軍団ツボってなかったんだけど、金沢でしっかりやられた。冥界アイドル地獄の軍団ちゃん……可愛いよ軍団ちゃん……。真ん中で大事な話が行われているのに、1ミリも話を聞かずに下手に固まってきゃっきゃ互いの赤い舌見せあってる地獄の軍団ちゃんにズキューーーンと射抜かれた。なにあれかわいい。

 この地獄の軍団ビジュアル周辺は夜日布まみとさんのブログがとても分かりやすいので、ぜひ読んでみてください!お勉強になるし、見るのが楽しくなるよ!

yahishigi.hatenablog.jp

  それでもやっぱり私は干殻火さんだけは怖いよ。やっぱり考えれば考えるほど怖い。干殻火さんだけは国盗り戦の恨みつらみと無縁の、人間の持ってる剥き出しの凶暴性が燃料なんだよね。キュートでおとぼけなビジュアル&キャラクターなのに根っこがこわいよ~~~!!!

 あと、最初の名乗りのとこでめちゃくちゃ拍手したいんだけど、タイミングが掴めない。っていうより間が設置されてないのかな?でもゴエロクみたいに名乗りで拍手したいなぁ、という気持ちの昂りの行き場がなくてぐるぐるする女。

 

奧華十三 / 河野まさと

 何から話したらいいか分からないけど、いよいよ底なしの沼になってきた。このキャラクターは私にとっての沼です。何でまあ、こう、河野さんのお芝居は私の好きを抉ってくるのだろう。最早怖いよ。女搾取アビリティに沸きに沸いた大阪でしたが、免疫も出来たし金沢は平常心で見られると思ってたんだけど、普通に生命活動に支障が出ました。十三叔父、明らかに「兄に相対する弟」「弟の呪い」の部分の演出が濃ゆくなっていた。特に顕著に演出が変わったのが秀衡の死に際。分かりやすいぐらいしっかりと「秀衡刺される→十三と秀衡の目が合う→十三ゆっくりと笑う→秀衡絶望の表情を浮かべ絶命」の流れが出来上がってて私も絶命した。オペラ持つ手は当然震えたし、何故か泣くシーンでもないのに目尻に涙が浮かんでたし、安定の酸欠だし、脇汗どころか全身汗ばんでしまって臭かったらごめんだし、シーン終わりの虚脱がやばかった。「憎むべき兄を陥れた喜びの笑み」の空恐ろしさ、嫡子への執着が禍々しいオーラになって匂い立つようで、コミカルなキャラクターの底に積もった積年の呪いが腹の中で黒光りしているみたいだったよ……やはり河野さんのお芝居があまりにも好きすぎる。ちょっとこの「弟の呪い」はあとで抜き出してうるせぇほど書きます。ツボに入りすぎてやばい。

 あと、十三叔父さんの死に際が「しつこさマシマシうざったさ全乗せ」って感じで次郎ラーメンの注文みたいになっててちょ~~~~~好きだった!!!!!これこれ!!!!!これですよ!!!!!これは千秋楽だけだったんだけど、「最高の女」を言いながら何度も何度も髪を掻き上げるのがあまりにもツボすぎたし、贔屓目あるかもだけどその日会場でトップクラスにウケてたので絶対に松本でもやってくれ~~~!!!ちなみに余談ですが、この髪を掻き上げる仕草の話を同行者としていたら、「キムタクみたい」「金八みたい」で意見がぱっかり別れたんだけど、これが噂の「解釈違い」ってやつだな!?!?私ですか?当然前者です!!!

 大事なことを忘れていた。たぶん河野さん\痩せました!!!/(しおりん調べ)喪服で荘厳な顔をして歩く十三おじさん、美が極まってて涙が零れそうだった……ありがとう、世界。ってか、えー!どうしよう!顔が良い!更に男っぷりが上がった!天才の顔が大天才じゃん!我が軍の勝利じゃん!顔面黄金大往生じゃん!もふもふの衣装にマジ感謝じゃん!最高!!!最高です!!!キープ!!!とまあ、フェイスラインがすっきりしたことで悪い笑顔の凄味が増したので冗談抜きにしても最高でした。うれしい。

 

 

金沢公演その他メモ

●客降り追加(ステージの狭さの関係と思われる)

【1幕】

玄久郎が海尊から逃げるところ(上手)

葬列(下手)

【2幕】

とにかくみんな逃げて追っかけて通りまくる。

一度でも通ったメインキャストは以下の通り

・上手

地獄の軍団、頼朝、景時、政子、おかめ

・下手

九郎(冥界ver)、次郎、静歌、黄泉津、くくり、弁慶、頼朝、政子、景時、おかめ

 

●台詞追加 「子だぬきみたいな坊さん」

静歌に弁慶海尊を紹介する台詞。子だぬきかわいい。 

 

●冥界九郎初登場時のリアクション変更

 次郎九郎のお揃いわちゃわちゃと、静歌の脇腹つつきが可愛い

 

●弁慶の持ち物変更

 玄九郎を油断させるために捨てたもの。催涙スプレー→Y字パチンコへ。

 

●地獄の軍団のベロ真っ赤

 秀衡だけじゃなくてみんな真っ赤。干殻火さんまで真っ赤っか。

 

●牛若と玄久郎の隈取り変更

  ガチャの可能性もあり。


【小道具メモ】

●反省室カー&清衡ひからびの帽子にある文字は「冥界建設」

●政子の鉄煎餅が4種ある

 ①普通の鉄煎餅、②殺陣用の後ろに取っ手がある鉄煎餅、③殺陣用の下に穴が開いてる鉄煎餅、④登場したときの鉄煎餅だけ食べれる煎餅。上部1/4だけが食べれる煎餅になってる。

●十三叔父の食べているのは干物(多分模様的にアジ)

●十三叔父の持ってる鋏は糸切り鋏。何で持ち歩いてるの?って思ったけど、やっぱり枝毛処理かな?(笑)

●静歌の六絃ストラップと二幕から着てる奥華もふもふのベルトの色が一緒?要確認。

●冥界で秀衡が振り回しているものが何度見ても分からない。要確認。

●玄久郎のスゴクツヨイ冥界剣だけ、刀身の材質が他と違う。他は艶消しだが、鏡のように光る素材。更に他のはつるつるだが、これだけ表面がざらざらデコボコになっていて光を反射するように工夫がされている。あと、確信が持てないけど若干刃の折の角度が深め。これも反射のためかな?

 

「親世代の沼」と「奥華の弟合わせ鏡」

 こっから先は行き場のない解釈と妄想の墓場です。偽義経は玄久郎が主役でそれを取り巻く人の話だけど、その一世代上が相当こじれてそうで興奮するんですよ!!!と、いうわけで主に残りの松本公演で親世代を考察するために見たいポイントをまとめたよ。義経はフィクションだけど、史実を調べて絡めて考察したり好き放題だよ。卒論は松本のあとに書くね。まあ、とにかく苦手な人はすっ飛ばしてほしいけど、好きな人はおいでよ、親世代と弟の森!!!

 

「親世代の沼」

 関係性で楽しもう!親世代のしがらみ!

秀衡と黄泉津(愛していなかったのはどちら?)

  作中に秀衡は「お前は奥華秀衡の妻じゃなかった。いつも奥華の巫女長だ」というセリフがあるけど、私は巫女という職務の方が大事だっただけで黄泉津は秀衡を愛していた「妻」だったと思うんですよ。ただ、巫女長という職務の方が大切だっただけで。くくりに黄金を運ばせ家族3人だけになったシーン、秀衡の前で黄泉津は砕けた甘え口調でしゃべるんですよね。黄泉津が気を張ってない甘えた口調でしゃべるのってくくりの前と、あそこの「あなたが次郎って名前をつけるから~」のとこだけなんですよ。心を許して甘えるくらいに、気持ちがあったんじゃないかなぁって。

 というか、むしろ秀衡はどうなんだろうって思うんですよ。秀衡からは黄泉津への特別な愛情を感じられるシーンがあまりなくて、巫女という職務を全うし自分を一番にはしれくれない黄泉津を愛せなかったんじゃないかなぁって感じたり。愛していなかったのは誰か、愛していたのは誰か、その点に注目して松本公演を見ると後のくくり・十三との絡みも楽しくなりますこれは間違いない。

 

黄泉津とくくり(一番大切な人だから)

 爆誕してしまった究極百合、くくよも……何度見てもぎゅうんってなるくくよも……作中そんな台詞などないのに見た人のほとんどが「黄泉津が秀衡と出逢う前のずっとずっと小さい頃からくくりはお傍でお仕えしていて、黄泉津がつらいときは膝枕をしていたんだろうなぁ」っていう幼馴染設定を受信したんじゃないかってくらい二人の強固な関係の説得力が凄かった……。二人の間には「時間」を感じるんですよ。本当に一言も匂わせる台詞はないのに、演劇の魔法ってすごい。ちなみに私は金沢公演までを終えて「くくりは黄泉津に恋愛感情を抱いていたけど、黄泉津はくくりを家族だっと思っていた友愛」っていう説を推してます。黄泉津は「四角四面の女」だし、時代のことを考えても、女同士で結ばれるなんて想像もつかなそうなんだよね。例え黄泉津にとってくくりが掛け替えのない人だとしても、伴侶になるとか考えられない。くくりはそれも全部分かってそうだし、例え黄泉津がくくりを何より大切にしていてもその想いに気付いて困ることのないよう、真綿に包んで彼女が想像できる範囲の幸せの中に囲ってあげてたんじゃないかなって。自分の気持ちを押し通すより、一番大事な人だから誰よりも幸せの最中にいてほしい、っていう究極の献身を感じてくくよもたまらん。くくりは最後まで可能な限り黄泉津を幸せの近くにいさせたいから、決して彼女を一人にしない。「地獄で一緒に叱られよう」と声を掛け、彼女が一人で死ぬことがないよう、彼女が事切れてからくくりは死ぬんですよね。毎回必ず黄泉津の腕が落ち、それを見届けてからくくりがガクリと項垂れるの、本当にあまりにもくくりの愛情の体現すぎて息が止まりそうになるよ。

 

十三と黄泉津(十三は黄泉津を本当に「最高の女」と思っていたか問題)

 ここは一番解釈が分かれるとこだと思うし、みんなの解釈で殴りまくってほしいとこなんだけど、十三は黄泉津をどう思ってたんだろう問題。

 ・完全利害関係

 ・昔は好きだったけど今は利害

 ・兄貴のものは全部奪いたい

 ・本当は今でも好き

 私はねぇ「本当は今でも好き」説を推してます!!!!!十三は実力がないのにプライドは高いから、惚れた黄泉津が兄のものになった瞬間「あんな女、興味なかったし~(癖毛くるくる)」とか言い出しそうだけど、それでも死に際に「やっぱり」という冠をつけて「最高に良い女」って言ったのは本心だったって思うんですよ。死に際に「やっぱり」って言ってるから常々おじぴよは黄泉津を最高な女だと思ってたわけで、どんなに口説いても手に入らなかった黄泉津から金の流れを相談されたときの十三はどんな気持ちだったんだろうって思うと……うっっっ。途端に切なさガン上がりじゃないですか!?まあ、でも黄泉津が十三に金の相談してる様子、なかなかにグロテスクな気はする。だってあの堅物の黄泉津が、あんなに厭らしくて怪しくてチャラくてお腹真っ黒そうな十三ですよ!?!?!?取り合わせの妙ちくりん感がグロテスク。マジで秀衡に飲ませた酒を十三にも飲ませるべきだろ。

  とにもかくにも最高の女である黄泉津が振り向いてくれないどころか、兄と結婚してしまい、自分は分家して湊で交易してる十三、やばすぎないか!?!?!?興奮して吐きそうです!!!片恋のおじさん、好物です!!!どんな形でも黄泉津は秀衡を愛していたと思うし、そう考えると黄泉津を思うくくりだけじゃなく十三の気持ちまで山葡萄の味わいすぎて、親世代は沼です。

 

くくりと十三(あなたがきらい)

 金沢、一番の変更点!!!くくりがものすごい十三嫌いになっていた!!!えーーーあまりにも露骨でたまらんのですが!!!十三が話しかけると目を逸らすし、お酒はちょっとしか注いでくれないし、黄泉津がキレたときはきゃっきゃ大喜びだし、大阪と金沢の間に何があった!?!?!?ってくらい十三嫌いに拍車がかかっていた。でも、納得なんですよ。秀衡は黄泉津にとって大切な旦那だけど、十三は黄泉津に惚れているか黄泉津を利用しようとしているかのどちらかで、どちらにしろくくりにとっては純粋な害なんですよね。十三は鈍感だからか、くくりなど眼中にも入っていないからか、まったく勘付いてなさそうだけどこの二人の水と油な関係可愛すぎて大好きです!!!絶対に見てくれよな!!!

 

秀衡と十三(奥華の嫡男はあなたなんですよ)

 さて、本題です。最初から気になっていたんですけど、「この秘密(黄金大往生)を知るのは奥華の嫡男だけ」という黄泉津の台詞があるのに、十三は「黄泉津が木乃伊を黄金にすること」を実平に教えいてるんですよ。考えられる要因は三つ。

 ・誰かが十三に教えた

 ・十三はそもそも嫡男だった

 一つ目はどうか。知っていて十三と交流がありそうなのは、秀衡・黄泉津・くくり。くくりは十三が嫌いなのでまずない。秀衡は十三と会うことが久し振りで、珍しいと口にしているし交流があまりなさそう。だとすると、教えた可能性があるのは黄泉津になる。黄金の流れの相談もしている。でも玄久郎にも教えず嫡男にこだわり次郎にだけ教えた黄泉津が戒律を破るのかなぁ、とも思うんですよ。

 そうするともう一つがしっくりくる。次郎と同じ、十三も次男だけど嫡男だった。だから黄金大往生を知っていた。

 ここで唐突に史実のおさらいです。そもそも奥華秀衡のモデルは分かりやすく藤原秀衡なんですけど、十三にもモデルっぽい人がいます。十三湊を開いた十三秀栄という人で、元は藤原秀栄です。秀栄は母方の祖父である安倍宗任の息子、つまり秀栄にとっての叔父である安倍氏季の養子になってるんです。そして二人の母はこの安倍宗任の娘なんだけど、一説によると年齢的にこの娘が基衡の正室になる前に秀衡は生まれてたんじゃないかってことらしいんですよ。つまり、秀衡は正室の子でなかった可能性がある。秀栄は血縁のとこに養子に行ってるし、間違いなく正室の子供なんですよ。

 しかも、冒頭の牛若事件の裁きシーンでで秀衡は「仮にもお前は奥華の嫡男だろう」って玄久郎に言うんですよね。あれだけ黄泉津がうるさそうなのに、秀衡は玄久郎を嫡男として扱っていたんですよ。正室の子は次郎なのに!そうかんがえると、秀衡は正室の子でなくても嫡男にする、という意思を少なからず持っているんですよね。

 ということで、楽しいので(重要)「十三だけが本来嫡男になりうる正室の子供だった」をベースに考えます!!!十三は次郎と同じで正妻の長男で、それなのに才の差で跡継ぎになれずその代わりに分家して十三湊をもらった。そう思うと二幕の「自分の器は分かっている」「そんな器量も人望もございやせん」の響き方が変わってきません!?!?そして、黄泉津のことも。嫡男としての未来も、好きだった女も取られていたとして、その先に待っていたのが秀衡絶命の瞬間のあの笑みだとしたら。あまりの闇の深さにスタオベですよ!!!コミカルな叔父の裏に潜んだどす黒い嫉妬と執着と殺意の闇!!!たまんなぇな!!!!!

 と、いうわけで考えれば考えるほど、親世代のこんがらがった人間関係とクソデカ感情が楽しいので、隠された沼だなって話です!!!!!

 

「奥華の弟合わせ鏡」

秀衡と十三、玄久郎と次郎

嫡男という光の子と弟という呪われた子供

 この時代における嫡男がどれほどの意味を持つ存在なのかは分からないけど、内部的にも外部的にも段違いに認められるんでしょうね。気立ても器も人望も兼ね備えた男。家督を背負えるだけの背中を持つ男。本来は血が重要視されるのに、それ以上に認められるものがあって秀衡は嫡男となり、玄久郎が秀衡の目に嫡男として映っていたとする。だとすると逆に選ばれなかった男は、気立ても器も人望も足りない、血筋しかないと示されたと弟たちはどういう気持ちなんでしょうね。父は明らかに兄を嫡男扱いしているのに、血筋はこちらが正しいと母が頑なに嫡男の権利を訴えてやっと嫡男扱いされるなんてつらすぎません!?いつまでも弟気分が抜けないんじゃなくて、弟気分で過ごしていないとやっていけないとこもあるんじゃないかなぁ。いっそ嫡男の権利何てなければこんな気持ちにならなくてすんだのに……。血筋が嫡男であるが故に自尊心がぼろぼろに傷つけられ、その傷を隠すために弟ぶり、二番目として振る舞いながらも内心プライドを保つために本来は正室の息子が嫡男なのだということにしがみ付くようになったとしても決しておかしくないと思うんですよ。光があれば影が落ちる。血筋は正当じゃないのに嫡男だと認められた二人が眩しい光の子供だとしたら、その光の隣にいる血筋だけは正統な弟には影が落ちるよなぁ……。弟たち、しんどすぎて抱き締めてあげたい。そして興奮しすぎて何が言いたいか分からなくなってきたので考えるより感じてください!!!

 

十三と次郎という合わせ鏡

 ってことで合わせ鏡が多いことでおなじみ「偽義経冥界歌」ですけど、何とこの兄弟も合わせ鏡の可能性があるんですよ。特に、十三と次郎は合わせ鏡に感じるんですよね。嫡男の権利がある弟、兄に勝てないと思い込んでいる弟、兄を好きな女に惚れていそう、などなど。まあ、私が次郎と十三好きだからそう思い込んでるだけって可能性は捨てきれない!!!

 十三も次郎も「弟」という日陰の呪いに掛かってるんですよね。特に十三は家督も好きな女も奪われて殺したいほど憎んでいるのに「自分は器じゃない」という考えから逃げきれない。次郎も「奥華の家は兄上が継ぐべき」と口にするんですよね。二幕で十三が黄泉津に「俺は器じゃない。兄貴を生かしておけば良かった」って言うの、一幕で次郎が黄泉津に「嫡男は兄上が!」って主張するの思い出しちゃわない!?私は思い出しちゃう側のヲタクです!!!よ、弟の呪い!!!

 私は手酷い十三のヲタクなので、十三が次郎に対してどんな感情を抱いていたんだろうって考えるんですけど、次郎に自分と同族である哀れみを抱き呪いの解放を願う気持ちはもちろんあるけど、それと同じくらい一人だけ取り残されたくないという気持ちもある気がするんですよ。もし、あのとき次郎が秀衡にとどめを刺すことに失敗し、秀衡が次郎を殺したとしても十三にとっては儲けだった気がして。玄久郎が義経になり替わったことにより、次郎は自分と違い「家督を継ぐ嫡男」になったんですよね。だから羨みと忌む気持ちがゼロだったとは思えない。そしてもし秀衡が次郎を殺したらきっと黄泉津は去り、秀衡は子殺しの重責に苛まれる。形は違えど秀衡に復讐が出来た。もちろん、秀衡が死ぬのがベストであったので、自分の分身のような次郎に秀衡を殺させた、しかもとどめは自分が差した。あの瞬間だけは十三は満たされてたんだろうなぁ、満足そうな笑みが焼き付いて離れない。でも、結局自分は器じゃないという事実がより大きく襲い掛かってきて「弟の呪い」は解けるどころか効力を増してしまったように見えるんですよね。父を殺して嫡男になった次郎も同じで。結局嫡男と親殺しの重圧に耐えきれなくて闇堕ち顔になってしまうし、器が壊れかける。

 でもその後ちゃんと次郎は「弟の呪い」から放たれるんだよね。十三が闇の弟なら次郎は光の弟。

 まあ、正直この辺の次郎の「弟の呪い」からの解放に至るまでの解釈がしきれていないので、松本公演が楽しみだーーー!!!!!

 あと、秀衡が次郎に向ける刀は十三の持ってた刀なんだけど、この意味をまだ読み解ききれない。でも明らかに十三があんな場所に刀を置いたのは計算だと思うんですよ。だってあそこで自白剤の入った酒を飲ませるという計画を十三は知っていたんだし。

 偽義経、どうしても斗真の主人公パワーが強すぎてそこに惹かれがちだけど、親世代沼も弟沼も楽しいので色んな所に底なし沼がしかけられてそうだよね。さすが見て極楽ハマって地獄ヲタク殺しの中島かずき!!!

 

 

 まあ、興奮しすぎて全体的に何が言いたいか分かんないんだけど、とにもかくにも偽義経が超楽しいです!!!歴史的背景や歌舞伎の隈取りなど、知ってたらもった楽しいんだろうなぁってことがたくさんあって勉強嫌いだった少女時代の私を恨んでいるよ!!!学習意欲がガンガン湧いて歴史の勉強をし始めたくらいなので、偽義経を義務教育に取り入れるべきでは!?!?

 

 と、いうわけで2019年は松本5公演を残すのみなので最後まで楽しみまーーーす!!!!!

 観劇感想取って出し はtwitterアカウント【@40dokuro】でしてます。

 

 【宣伝】河野まさと沼は楽しいぞ!!!

shioring78.hatenablog.com

 

*1:「偽義経冥界歌」と「グレガラン」は同じ中島かずき先生の脚本です

*2:2020年の「偽義経冥界歌」東京福岡公演は山本カナコさんになります

*3:強い子のミロ。ココアより美味しくない?https://nestle.jp/brand/milo/nutrition/

*4:梶原景時役もこなすアクション監督・川原正嗣さんの愛称

*5:フォロワーさんが鳥髑髏の森山未來×早乙女太一の殺陣に付けたあまりにも分かりやすく粋な呼び名。天才。