しおりん日記

同じアホなら笑わにゃ損!好きなものの話を書く!【twitter】@_shioring_

嵐で満ちた #メタルマクベスdisc2 を愛した秋の日々

 やあ、フェルナンデス国は無事に滅亡したよ!!しんどい!!!

 初めは暑かったのに、終わるころにはすっかり寒くて。そんな気候までジェットコースターだったメタルマクベスdisc2が千秋楽を迎えました。3枚しかなかったチケットも順調に二桁まで増え、口座はステアラダイエットで骨と皮になるまで痩せこけている。ほら女の欲は際限がないからさ…!ストーリー全体の繋がりと作品に満ちたラブ、そして完成度を愛したdisc1だったけど、disc2はキャラクターの個性と眩しさ(と顔面力)、そして成長の面白さを愛してしまった。季節柄嵐の夜に決行することが多く*1何度も帰りの電車を考えハラハラしたんですけど、ストーリーも同じようにハラハラな暴風雨のようだったdisc2。

 disc1にあってdisc2にないもの、あまりにもありすぎたのでdisc2は本当に人を選ぶ感じだったとは思います。ただ、disc2にしかない大きすぎる点はやっぱり疾走感と不安定さだったと私は思っていて。いやいやdisc1だって勢いあったよ!っていう意見もかなり各所で見かけたんですけど、どうしたって若さって圧倒的で替えの利かない武器の一つだと私は思っています。あの若者特有の弾ける瑞々しさとか、瞳の水分含有量の多いキラキラ感とか、肉体におけるバネの強さとか、発散される生命力のうるささとか、そういうのってやっぱり存在すると思うんですよ。そして不安定さも若さのもたらす一つで。明日には何が起こるか分からない、ぐらぐらと目の前にあるものをとりあえず積み上げて塔を作っていくような感じ。不安定で、けれど見たこともないものが出来ていくワクワク感。これはモスキート音と同じで、ある人には強く共鳴し、ある人の琴線には全く触れないものだとも思います(笑)

 disc1は若さがない代わりに贅沢な程の技術や、関係構築の凄味あって、それはそれは熟練の技巧を駆使した豪勢なフランス料理のフルコースみたいだった…disc2は何というか新進気鋭の創作料理みたい(笑)私はどちらも美味しく戴けました!!!ご馳走様!!!否定や拒絶は悪じゃないけど、不幸だとは思う。だって楽しめるものが多い方が人生幸せじゃない!!!

 というわけで、前書きが死ぬほど長くなりましたが恒例のアレです。卒論です。

 基本的に自己解釈をまとめただけ、最後に各役やキャストへの暑苦しい感想という構成になっております。

 

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 【形ばかりの目次】

 

人間になりたかった悪魔と、神様になりたかった女の子。つまりは夫妻の話

「殺しが好き」という業を背負った悪魔の子

 基本的に前楽と千秋楽が作品の答えと捉えるタイプなんですけど、最終週の松也ランディの確変っぷりヤバくなかったです!?その松也ランディに呼応するように、木場レスポールもみるみる表情が変わっていくもんだから、ライビュを含む前半だけの人と異様な方向に組み立って行った後半を見た人ではdisc2の感想が全然違うはず。舞台は生き物だ。とはいえ、後半見れなかった人が可哀想だから円盤に映像残してくれ!!!さて、この記事ではそんな後半のネオ松也ランディに準じて感想を書いてます。

 基本的に情けなくて小物の松也ランディ、ですが繰り返し見ている内に感じたんですけど最もギラギラと目が輝いていたのは冒頭の「綺麗は汚い」の殺陣なんですよね。爛々とした目で敵を斬り、高らかに歌い上げ、誇らしげに笑みを浮かべて。何と言うか、美しい程に輝いている。そして前楽と千秋楽、私の穿ったフィルタが掛かっていたのかもしれないけれど、レスポール王殺しのバルコニーシーンで斬りかかる直前、振りかぶりながらぎらりと目が光ったんですよ。綺羅星が目の中に、見えた。もう、あれが、本っっ当にやばかった。薄々松也ランディに感じていた「殺しが好き」という本質をまるで裏付けるようで。ひ、ひ、ひーーー!!!と感動とは違う鳥肌が立ったのを明確に覚えてる。一種の恐怖ですね。そうか、ランディは小心者で夫人の尻に引かれているように表層上では見えているけど、「殺しが好きな悪魔の子」なんだな、と。こうやって私のように、周りの人間は垣間見えるランディの悪魔性に怯えていたのかもしれない。松也ランディが、何となくESP軍に馴染めていないのも、夫人以外に心を開いていないのもそういうことなのかな。もっと言えば割とよく見かける感想、ランディローラとのいまいち距離のある親友っぷりってやつも、共に戦場に出ることが多かったローラが潜在的な悪魔に拒絶を持っていたのかもしれない。こうなるとグレコの「あなたが強すぎるからだ、ランディ!」の意味も何だか違って聞こえてくるから、人の妄想力ってすごいなぁ…(私のことです)

 ちょいちょい見える怯え方とか周りの距離を見ると、もしかするとランディは幼い頃から己の中の「殺しが好き」な悪魔、飼いならせない悪魔と戦っていたのかもしれません。知らんけど。*2そして、そんな悪魔の子に存在意義を与えてくれたのが夫人だったとしたら。そりゃ、夫人をがっつり信仰するでしょう!!!!!やったぜ加トちゃん!!!!!*3

 王の妻になりたい、大きいことをしたいと感じていた夫人。そして己の中の悪魔を持て余すランディ。夫人にとっては都合の良い男だったのかもしれない。けれど、自分の中の魔物を肯定し、存在意義を与えてくれた夫人はきっとランディにとっては神様だった気がするんですよね。戦いでたくさん人を殺して地位が上がるごとに褒めて撫でてくれて、そして私のために王様を殺して、とお願いしてくれる。にゃんにゃんシーンの安心しきった顔、そして私がとても大好きだった「すべてうまくいく」のまるで厳かな神託のような、あまりにも美しいシーン。あのシーン、本当に何度見てもとてもとても美しかった。特に「王は言った家族のために戦え与えられるものは全て与えると」の部分が大好きで大好きで。一度だけ、最前列のど真ん中で見れたんですけど、あまりの美しさに身体中の力が抜けて涙が止まらなかったことを覚えてます…。松也ランディの背中越しにそびえる櫻子夫人。神々しい青い光を浴びて、小さな体が何倍にも大きく見えて。脳を狂わすような甘くて強い歌声。全身の細胞が作り替えられるようで。耳から女の悪意を注がれたランディは「家族は私よ」でぱぁっと表情が一瞬で輝くんですよね。あの新興宗教を思わせる絶対的な神託と信仰のシーン、本当にやばかった…。悪魔は存在意義を与えられ、愛情を与えられ、こうして人に近付いたんじゃないかなって。もしかしたら近付いてないのかもしれないけど、人の歓びを感じることが出来た。もし、暗殺が成功してその後も国が平和なら、暗殺は正義になってしまうんですよね。史実にはいくらでも側近が王を殺して国が存続した例があって。上手くいけば、もしかしたら、やり方を違えなければ、信仰の方向を間違えなければ、悪魔の子ランディは人間になれたのかもしれない……って思うと情緒が死ぬ。

 

「大きなこと」を望んだ神様になりたかった女の子

 櫻子夫人、ほんっっっとうに最高だった初日見たときは完全に「メタルマクベス夫人」って演目で、千秋楽も1幕時点では圧倒的に「メタルマクベス夫人」なんですけど、2幕の松也がネオな追い上げで最終的には「メタルマクベス」に収まったってのが私の感想です。誰も聞いていない。

 夫人は「何かになりたかった」のかなって思うんですよ、私。あの思春期特有のもやもや、「何者かになりたい」という行き場のない直情、それが実体のない「大きなことをやりたい」=王の妻になりたいになったのかな、と。王の妻になって政治をしたい、とか華やかな暮らしをしたい、とかその先が櫻子夫人には感じられないんですよね。それは「夫人の溜め息」の変更された歌詞*4にもめっちゃ現れてる気がして。

大きな城など欲しくなかった。大きなことがしたかっただけなの。王の妻になるためには王を殺すしかなかったの。

 そうなんですよ、櫻子夫人にはその先がない。ゴールは「大きなことをする」こと。自分が何者かを示すような、「大きなことをした」という事実が欲しかっただけなのかもしれない。だって夫人には何者かを示す己の「名前」すらないんだから。その何者かになりたい思春期もやもや病を満たしてくれたのはランディなんだろうな。ランディが夫人に肯定されたように、夫人を必要として神様にしてくれるランディもまた夫人を肯定していたんですよね。二人がどうやって出逢ったか、愛情はあったのか、それはやっぱり今でもアマゾンの奥地に行ったって見つからない気はしてるんですけど、二人は間違いなくお互いがお互いにとって「自分の存在を肯定してくれるたった一人の人」だった気がして。それは時に、愛情よりも強力な関係になると思うんですよ。自分を信仰して、思い通りに振る舞ってくれる、可哀想な悪魔な子。夫人は「あなたには私しかいない」可哀想なランディをとてもとても必要としていた気がします。知らんけど!!!

 夫人は堂々とした悪女に見えて、己の力量はちゃーんと分かっていたように見えて。己のキュートな魅力も分かったうえで、その限界もある程度は冷静に見定めている。だって王の妻になるだけなら、ジュニアを乳首マッサージを含む手練手管で陥落させればいいだけなんですよ。けれど、それは出来ないと分かっている。あの光の子供*5は飼いならせないし、自分を必要としないことが分かっている。というか、力量を分かっている、じゃないですね。夫人は自分の欲望を満たしてくれるものが何かをちゃーんと見極めている。ジュニアじゃ夫人の欲望を満たしてはくれない。もやもや病には1ミリも癒しをくれないでしょうね、あのジュニアじゃ。やっぱり、そう考えると結局夫人にはランディしかいなかったんだろうなぁ。

 そうそう、私、夫人が壊れたのは罪の意識でも何でもないと思うんですよね。ランディの信仰の対象が自分から魔女に移って、自分が何者かを失ったからなんじゃないかなって。夫人はせっかく「ランディの神様」になれたのに、ランディの信仰は魔女に移って夫人はまた何者でもない者になってしまった。それは、彼女にとって一番耐え難いことだったんじゃないかなって。そして、関係が反転する。今まで夫人をランディが追い求めていたのに、自分の存在を証明するために夫人がランディを求める。最初、ランディにマクベスが侵食してくるのはコンパクトディスクの影響かな?って分かるんですけど、後半夫人にローズが侵食してくる理由が分からなかったんですよね。けど、もしかしたらあれは、ランディに振り向いて欲しかったからなのかな、って。マクベスになっていくランディにもう一度求めてもらうには、ローズになるしかなかったのかと思うと、めちゃくちゃ切ないな…うぅ。

 

神様になれた女の子と、人間になれなかった悪魔

  ここまできちんと同じ方向だった二人の道、結局は違えてしまうから悲劇なんですよねマクベスって。王殺しという大問題を介したESP国の関係性の崩壊ってより、disc2の悲劇の本質はあくまで二人の問題で。何と言うか、運命のジェンガの抜くピースを間違えて塔が一気に崩れるような印象。

 ここで唐突に魔女の話をしてもいいですか?\いいよ!/disc1の魔女はどちらかといえば、ゴールを知っていてそこへ導く魔女に見えたんですよ。二人の運命を導く魔女。宿命の死者という感じです。魔女もまた二人の運命を遂行する役割のひとつで、運命のレールを歩かせるために予言をしたりレスポールを呼び出したりする。けれど、disc2の魔女は違って。彼女たちは遊んでる魔女に見えたんですよ。二人の運命のゴールなんて知らない、ただ面白いことをやって掻き回しているだけ。遊び半分で予言をしたり、レスポールの亡霊も本物を呼び出したのではなく明らかに魔女が化けている。disc1ではそのままの口調だったレスポールの亡霊、disc2ではオネェ口調になってるっていう明らかな変更があったんですよ。disc2では見る側に分かるように「化けてる」ことを強調してる。そういうのも含めて何だかランディを馬鹿にして遊んでる感じがとってもして。その信念のないおふざけ魔女だからこそ、二人に致命的な一撃を与える。私、disc2の魔女がランディに与えた致命傷は予言の内容でもレスポールからの予言でもないと思っていて。致命傷は「夫人に化けて出てきたこと」だと思うんですよ。ランディの神様である、夫人。夫人の格好で告げられなければ、ランディはあれほど予言を狂信しなかった気がして。王殺しを完遂し王の妻になった夫人はその先の目的を失い「夫人の溜め息」を歌い、ランディの悪魔性を求めなくなる。「血を見るのは嫌」になってしまう。けれど、魔女はランディの悪魔性を求める。きっと面白いから。ランディはどんどん魔女の方へ信仰の対象を移し、夫人は「自分の存在意義」を失い、壊れていく。え……マクベスって話、改めてつらすぎない!?!?

  ローズになってもランディは自分を寝かしつけたら地下室に戻ってしまう。魔女の衣服を真似て、メタルマクベスの歌をかき鳴らす。そのときの夫人の気持ちを想うとむちゃくちゃしんどい…。そうして夫人は殺意を己に向けるんですよね。あのラストの「殺意の歌」ほんっっっとうにすごいエネルギーだった…毎回毎回大原櫻子のバケモノっぷりに息が詰まりましたよ…。中盤から何度も何度も自分の腹を突くような動きが加わって、夫人の殺意が己に向かっていることが分かりやすくなってて。しかも、最終週、突然歌の途中で笑うようになって……もーーーう、つらい!しんどい!重い!……それが最高。声が涸れて悲鳴のように聞こえるのも効果的な作用をもたらして、終末を飲み込んでぐんぐんと成長していく情念の渦のようだった…。夫人は、明らかに自分に対して殺意を向けている。その意味を考えたんですけど、私はもう一度ランディの神様になりたかったのかなって。そう思ったら色々すぅって納得してしまった。飛ぶ前のきゃはって笑み。夫人は飛ぶことよりも、何者でもなくなることになる方が怖かったんじゃないかなぁ。「未亡人」になったら、「王の妻」っていう肩書もなくなって、本当に空っぽになってしまう。もう一度ランディの神様になるにはあそこで飛ぶしかなかったし、飛んだことでクライマックスに神様としてランディの前に現れる。聖母のような笑みを浮かべて。神様になりたかった女の子は、生前浮かべたことのないような柔らかい笑みを浮かべられるほどに、幸せになれたのかもしれないって思うと、千秋楽涙が止まらなかった……。

 でもランディは救われないんですよね。どんなに人間であろうと「愛する妻」や「友達」のことを歌っても、パール王にはバケモノ退治をされ、じゃあ何故戦うのかと決定的な答えを言わされレスポールは断罪する。戦って討たれるだけならまだ狂人程度で処理をされたのに、レスポールがランディに口にさせたあの言葉こそ悪魔裁判なんですよね。本人の口で、己が悪魔と認めさせる。何よりも残酷な裁きだと思うんですよ。この辺はあとでレスポールのところで書きたい。ランディは結局王に裁かれ、王の子孫に空を割られ、狼の子孫に討取られる。もちろん人ではなく”悪魔”として。disc1では腑に落ちなかったラストの台詞が、disc2はすとんと落ちたんですよ。あれは間違いなく人間になれなかった「悪魔の右腕」なんですよね…でもその悪魔に神様が寄り添っていることで、まだ救いはあるのかなって…。そこにうっとりするような甘い愛情はなくたって、ランディと夫人はお互いの存在理由だから二人が寄り添っていることは愛を超えた価値と安らぎがあるのかなって。寧ろ、死んだことで二人は幸福になれたのかなって……あれ、disc2ハッピーエンドなのでは!?!?!?

 とまあ、ここまで書きましたけど、こう感じられたのって本当に最終週とかそんくらいなんですよ。前半は本当に愛がない妻の欲と力だけが突っ走ってた印象だったし、中盤は一度二人とも妙に怯えるようになって孤児の兄妹が夫婦ごっこをしながら傷を舐めあってるようだったし、生々しいラブが垣間見えたときもあったし、けど最終週の印象は信仰と存在証明の話に見えた。何というか、disc2夫妻はまるでイムループを繰り返しているようで。今度ならもっと上手くやれる、を繰り返しどんどん関係は変化をし記憶を持っている分深まっていく。もしかしたらこの一ヶ月半は一続きの物語だったのかもしれない。そう思わせる程に、状況が刻一刻と変わる嵐のように変化と成長を繰り返すdisc2夫妻は本当に多ステしがいがあってヲタクの財布殺しでした!!!あー、楽しかった!!!!!

 

眩しすぎる光は正義そのものであり、過ぎた光は滅ぶという話

美しさは残酷なほどに正しく悪を受け入れない、つまりパール王の話

 パール王、本当に一時も変わらず恐ろしいくらいに美しかった……本当に河野まさとさん(50歳)*6をパール王にしてくれた世界、いくら感謝してもしきれない……生きてて良かった!!!衝撃的なことに、パンフレット以外にあの写真も映像も残っていないし、私は絵も描けないから、記憶が鮮明な内にここに美しかったパール王の姿をとりあえず記録しておくぞ!!!

突然のここが最高だよパール王

①髪型が最高

 生え際から毛先に向かって段々と色素が薄くなっていくプラチナゴールドのさらさらストレートロングがほんっっとうに最高だった。河野さんのはっきりした顔立ちにあのかつらを被せようと思った人、マジで天才。何より天才なのは、耳の前に垂れる二本の触覚*7オールバックなのにあの触覚を垂らすって決めた人、いくら欲しいですか!?言い値を言って!!!あれが、走り去るときやバイクで疾走するときや殺陣の最中にはらりとお顔に掛かるのが国宝級の美しさだった。

②衣装が最高

 高貴な紫カラーのお衣装がマジでロイヤル大爆発だった。短めのケープが若々しさと腰の位置の高さを強調していて天才。このケープ着せた人にも金を払います。そしてケープにもお衣装にも植物の紋が描かれていたのもノーブルさを助長していましたね。はい、天才。あと、王冠がシンプルで小さめなのもごちゃごちゃせずに顔周りがすっきりして、より、最強な顔面を強調させる仕立てでめちゃくちゃ良かったなぁ…。

③殺陣が最高

 片手式の西洋剣術ーーー!!!!!この殺陣をつけた人……は、川原先生*8ですね!!!振り込みます!!!っていうか、本当にこの片手剣術、あの衣装と髪型へのマッチ具合が5兆点だった……腰を下ろす構えの姿勢も、名乗りのときに顔の真ん中に剣を掲げるポーズも、手の持ち替えの美しい仕草も、斬り抜けるときのターンも、パール王の造形の美しさを惹き立てる最高の演出だった。本当に眼福でした世界に感謝。

④品の良い敬語が最高

 disc1からdisc2のパール王の台詞を敬語に変更すると決めた天才誰ですか!?!?クドカン???いのうえ神???どっちにしろお金はらry!!!部下には厳しく、客人には敬語での呼び掛け、本当にパール王の無菌栽培育ちの良さを裏付ける要素で大好きすぎた…。でも河野さんニュアンスで台詞覚えるタイプだからか日によって「準備はよろしいですか」が「いいですか」だったり、「では参りましょう!」が「行きましょう!」になってたり地味にガチャが発生してましたね(笑)そんなところも大好きなんですけど。とにかくあの声での敬語煽りはこれでもかってくらい「美の玉ねぎ」って感じで美で窒息しながらアルカイックスマイルを浮かべていました…剥いても剥いても美しい!!!幸福!!!

⑤メイクを含め顔面が余りにも最強で最高

 本当に何億回でも言うけれど、シンプルに顔が良すぎた……人は圧倒的な美の前には跪くしかないし崇めるしかないんですよ。顔が良いはパワー。顔が良いのをキープするのは才能。また、元々ポテンシャルの高いあの顔面にあの化粧を乗せようという世界、輝きすぎていません?しっかりとした二重幅を彩る紫、すぅっと抜けるような優しいブラウンの眉、頬骨を消すための濃いめなブラウンの影も天才だし、アフトの日にはこれに加えて眉上と頬骨にライトブルーのハイライトが乗ってたんですよ!?!?あの顔を最大限に活かしている…すごい…。まあ、化粧はガチャ気味でそのまんま河野さんな日もあったんですけど、それでも顔が良かったからそもそもの顔面偏差値が強い。とにかく美しいことはパール王のキャラ付けに大きく意味を持たせていたので、美は役に作用するということが良く分かりました…。

さて、話を戻してもっと中身のある話を

 パール王は初日に抱いた感想と全く印象が変わっていなくて、常に安定して首尾一貫「暴力的な程に正しく、残酷な程に清らかに美しい王」という印象でした。故に、悪に対して圧倒的な無理解。散々前のエントリーにも書いてますけど、パール王は「人が悪になることはなく、悪は悪としてしか存在していない」と思ってる印象なんですよね。知らんけど。生まれた時からきっと当たり前に王になることが決まっていたと思わせる育ちの良さ(件の敬語や剣術の振る舞いからの見立てです)、そしてジュニアを受け入れ国をあげて戦おうと決めたこと(正義に基づく損得なしの行動)から見える国の豊かさ。見た目の美しさも相まって、本当に不自由なく恵まれて生きてきたんでしょうね。この王と幼馴染だった悪魔飼いのランディはさぞかし劣等感でしんどかっただろうな…。清廉潔白さが当たり前だと信じている美しい男は、間違いなくその光で周りの心に影を落としていると思うんですよ。本当にある意味慈悲がなくて残酷。しかし、そういうところが美しさをさらに際立たせているのも事実で…最高。

 やはり、disc1との違いについても触れたい…。disc1とdisc2のパール王、対ランディのスタンスが圧倒的に違うんですよね。(ヲタクの妄想の可能性が高いんですけど)それが一番現れていたと感じる台詞が「黙れキチガイ」で。disc1のパール王は気が違ってしまった友」に向けて放った「黙れ気違いなんですよね。きちんと背後に相互理解の時代が見える。でもdisc2のパール王は「見たことがないバケモノ」に向けて放った「黙れキチガイに聞こえるんですよ!バケモノ退治だ~~~!そこにあるのは悪に対する圧倒的な無理解で。あのパール王の「黙れキチガイ」の表情、本当に本当に最高だった…!あの大きな目玉がボロリと零れ落ちてしまいそうなほどに見開かれるの…美しい王が浮かべる軽蔑と拒絶の表情、人類の奇跡すぎる。

 でもさ、思うんですよ。パール王、正義を妄信しなければ死ぬことも国を滅ぼすこともなかったのかなって。王が討取られたってことは高確率でフェルナンデス国も滅んでると思うんですよね(もしかしたらマーシャルちゃんの慈悲で再興してるかもしれんけど)。disc1のパール王はかつての友を裁くためだしきっとその後のESP国を同盟国にして争いを減らすためとかそういう考えもあって、しかも何となく勝算ありきで乗り込んでる感じするんですけど、disc2のパール王からはあまりそれを感じない。disc2のパール王って無計画っぽいんですよね(これは中の人の人柄故かもしれない)*9「ここで助けないのは正義に反する」って気持ちだけで協力してそうで。つまり、正義を妄信していなけれな、頭でっかちに正しさを追い求めなければ死ぬこともなかった。過ぎたる光は滅亡する象徴にも感じて、何かもっと上手く、というか汚く計算高く生き残ってほしかったな、とモンペなので思います。いつも死ぬとき、やっぱり悲しかったんだもん。うち、フェルナンデスで生まれた女やさかい…!夫妻があまりにも無鉄砲だから目につかないですけど、パール王もかなり無鉄砲で破滅型だと思うよ。でも、結局討たれる瞬間の苦悶の表情が恐ろしく色っぽく美しかったので、私は大満足です!滅びゆく男の壮絶な美しさ…。美しいは残酷、残酷は美しいままで滅びていってくれたパール王様、お姿は残っていなくとも全フェルナンデス国の女の脳裏で生き続けると思います…。この一ヶ月半の生きる希望をありがとうございました…!パール国王、万歳!

 

優しい笑みの奥で決して悪を許さない断罪の王、レスポールの話

  レスポール王、最初は優しいけど威厳のある王様だな~~~くらいの軽い感じだったんですけど、何と言うか、後半のランディ覚醒に凄くチューニングを合わせてくれて、最終的に対松也ランディ仕様のとんでもない王様が出来上がってしまった。普段はにこにこ優しいし、酒癖悪くて炎の報告とかキュート爆発な王様なんですけど、特定の場所での目の厳しさが尋常じゃなくて!!!私が強く感じたのは「炎の報告後に死刑を告げるところ」「死刑台の前で死刑宣告をするところ」「バルコニーの歌で君が分からないと歌うところ」「同じく、寝込みを襲われてもと歌うところ」「ラストの問い掛け」なんですけど、本当に裏切りや悪を許さない断罪の目だった。そもそもレスポール、悪に対する慈悲がないんですよね。和睦を求められても即刻死刑だし。そういうところが一代で王座に登り詰めた要因でもあるとは思うけど、disc2の木場レスポールは優しそうに見えてワイルドなdisc1西岡レスポールよりよっぽど冷たい目をするんだよ。にこにこ顔なキュートおじいちゃんからの落差がヤバイ。

 特に、後半に入ってからのラストの問い掛けは凄い迫力だったな…。本当に怖くて鳥肌が立ったこと、何回もあった。特に前楽・千秋楽は凄くて。「さあ、答えろ!ランダムスター!」の怒気、死人とは思えない迫力だったんですよ。あの言葉に木場レスポールの断罪王としての全てが籠っていた気がしてしまう。知らんけど。また、それに呼応した松也ランディもめちゃくちゃ最高で。泣いてるんですよ、問い掛けられて。それはもう、小さな子供みたいに顔をぐしゃぐしゃに歪めて。目元はぐちゃぐちゃに濡れてて(もしかしたら汗かもしれんけど)、鼻水もずるずるで、そして声は苦しそうに震えている。ランディは確かに悪いことをした悪魔なんですけど、そこまで追い詰める意味ある!?と肩を持ってしまいそうなくらいの手厳しい攻め。情けも愛情も一切ない、シンプルな断罪の問い掛けで。というか、自身の口で「自分が殺しが好きな悪魔」だと認めさせることは対松也ランディへの最も酷い仕打ちだと思うんですよね。あそこで「自分が悪魔」と認めたことで、ランディは人になることが出来なくなってしまった。悪魔の右腕を作り出したのは、間違いなくレスポール王だと私は思ったりします…。

 松也ランディのキャラクターに添い、若い座組の成長に合わせて進化を遂げた木場さんのレスポール王、本当に職人技だった。物語への説得力に太さを持たせる匠、カッコ良かったなぁ。

 

反乱軍の希望だった眩しすぎる光の子供、レスポールJr.の話

 いやはや本当にdisc2のレスポールJr.、良くも悪くも眩しすぎる光の子供だった…。最初はワイルドだし西岡レスポールの子供と取り違えたのでは!?とか思ってたけど、マジでdisc1の松下ジュニアは西岡レスポールの子供だったし、disc2の原ジュニアは木場レスポールの子供だったわ…。松下ジュニアが光も闇も飲み込んで復讐をする王子なのに対して、最後まで原ジュニアは闇を飲み込むこともなく光だけをまとって正義の鉄槌をくだす王子だったんですよね。復讐ではなく、正義の鉄槌。断罪をする王の後を継ぐ王子として、「裏切り者には死を!」という思想を教え込まれ、正義を過信するパール王の元に預けられ剣を学んだ原ジュニアは過度な断罪と正義、どちらも携えてしまった光の化身に感じたんですよ。それは正義でもあるけど、別の側面から見ると過剰な悪殺しで一歩間違えばランディと同じ光の悪魔にすら思えるんですよね。過剰な光は正義を信じ、己の身を顧みず邁進してしまうから、結局破滅してしまう。人類の希望は悪にとっては絶望だったと思います。

 「明けない夜」も「ランダムスター!」の曲も、松下ジュニアが復讐に燃える青い炎に見えたのに対し、原ジュニアはひたすら命を燃やして発光し続ける光の玉に見えたんですよ。更に、ラストの短剣に対する仕草。松下ジュニアは口付ける(=愛する人への復讐)って感じなんですけど、原ジュニアは眉間に掲げて祈る(=裁きの成功を祈る)感じがしたのも大きかった気がする。全体的に美しく気高く燃え上がっていた青い炎の松下ジュニア、段々と光が加速度を増してラストの短剣のシーンで爆発的に輝く原ジュニア。何だか、私には原ジュニアの方が破滅に近い感じがするんですよね。結局善と悪にどちらにも固辞していないバランス感覚が良いマーシャルが生き残ったように、光と闇のバランスがあった松下ジュニアの方がまだ生存している気がする。余りにも眩しく正義を迸らせた原ジュニアは落ち際に光り輝く巨大な流れ星のようで、その先には爆発的な破滅が待ってるように感じられてしょうがなかった…。でも何でだろう、disc2は破滅が美しいんですよね。散り際に草臥れて哀愁に胸が締め付けられたdisc1とは違い、爆発的に美しく散る潔さが眩しいdisc2って感じ。というか、絶対悪が滅びるように、過剰な正義も長くは生きられないんですよね。パール王やレスポール王、そしてジュニアのように過剰な正義は悪戯に悪を苦しめるし、悪を断罪するために全てを投げ打ってしまう。disc2は本当に悪魔と残酷な正義の話だった気がします。

 いやぁ、本当に人類って光るんだな、ってびっくりしたくらい常に眩しく輝いていた原ジュニア、本当に人類の希望そのものだった。そして悪魔にとっては恐ろしい兵器だった気がする。気高い美しさはないけど、眩しすぎる強さを持った強い子(物理も含め*10)原ジュニア、きっと空で一番輝く星に生まれ変わっていると思うので、これから空で煌星を見つけたときは原ジュニアだと思って冥福を祈ろうと思います(アーメン)

 

 調和の無い個性の殴り合い天下一武闘会、つまりはdisc2カンパニーへのラブレター

 わーーー!!!自己解釈の垂れ流し!!!はここまでです!!!

 最後に各キャストへの深夜のラブレターみたいな感想を残す!disc2カンパニーは主役をど真ん中に据え置いた調和など一切なく、殴り合って一番強い奴が主役な!って感じで常に個性で殴り合いをしていたような感じで、まとまりは薄かったけど爆発的なエネルギーがあったと思います。あと、やっぱり今回の3つのパターンの中で明らかに亜種として置かれていた。多分、カンパニー自体にその共通理解があったからこそ、思いっきり暴れていた気もします。とにか全然同じものを見せてくれなくて手に負えないやんちゃなdisc2カンパニー、私は楽しんだぞ!!!でも人は選ぶカンパニーだね!!!(笑)

 

ランダムスター/マクベス魔Ⅱ夜(尾上松也

 最初は正直「骨になるまで櫻子に食われとるやん!!!」って思ったけど後半の加速ギアがやばかった。前半とは別人なネオランディでした。とにかく顔圧が強くて、最前で見た時窒息するかと思った。顔からの情報量が超多い。あと、やっぱりヘドバンの激しさが最高だった。各所で連獅子って呼ばれてて爆笑した。

 上ではランディのことしか書かなかったけどマクベス魔Ⅱ夜の明らかにダメなバンドマンな感じ超好きだったよ!!!これだけはdisc1で物足りなかったとこだったからすごい嬉しかった…本当に絶対に過去に女に貢がせたり抱き捨てしたりしてたけど、野心のため&ローズに出逢ったからまともになったtheクズバンドマンだったよね…。家賃滞納してそうな感じ、めっちゃ推せる。そしてローズにはキスすらさせてもらえてなさそうなところもすごい好きでした。はい、ここまで全て妄想です。

 悪役をあそこまで可哀想に見せる迫真の芝居、本当に好きだった。小心者の皮を被った悪魔のランディ、disc1とは違った味わいで美味しく戴けました…汗をかきづらい体質と聞いていたけど後半はかなりかいてたから相当摩耗してたんでしょう。disc3のトークショーの幕間中継で明らかにやばそうなレベルの虚ろな目をしていたこと、忘れないよ…ゆっくり休んでください!

 

ランダムスター夫人/ローズ(大原櫻子

  ばーんーざーいー!さくらこー!おめーでーとーう!ステアラの城主ー!

 いや、本当にバケモノが降臨したと思った。爆発的なエネルギーと破滅の体現、自分で自分のキュートさを分かっている振る舞い、どれをとっても最高としか言いようがなかった。本当に視線泥棒で、小さな仕草ひとつで根こそぎ観客の心を奪っていた小さいけれど大きい女…。見に行く友人全員が口を揃えって真っ先に最高だったと言ったのは「大原櫻子」でした。あの小さい身体のどこにそんなエネルギーが秘められているのか不思議でしょうがない。でもアフトで赤身肉が好きって言ってたのは最高すぎた。櫻子と血の滴る赤身肉、この世における最高の組み合わせランキングTOP10には入るでしょ。

 散々夫人の最高さは上で語ったけど、ローズもめちゃくちゃ最高だったんだよ!!!何が最高だったかって、初日~前半で唯一観客に漂っていた違和感あるお姉さんローズをすぐに修正してきたとこ!!!前半はめぐさんと同じ「敏腕マネージャーローズ」だったのに、途中から喋り方から振る舞いまで一変して「顔が可愛いから許されてきた説教厨のイキったバンギャ」にシフトしてきたのめちゃくちゃツボだった…。やっぱりあのキュートな顔と若さを武器にしない手はないんですよね。アフトでめぐさんのマクベス夫人を見た時「私はああは出来ない。どうしても私の夫人になってしまう(ニュアンス)」って言ってたのが、本当に男前で大好きだったんですけど、ローズもその形になったのが本当に嬉しかった!!!

 櫻子ちゃんがこんなに凄い女だと知れたのはdisc2の中でめっちゃ大きな収穫でした!また舞台に出るときは何が何でも見に行きたいな!!!

 

レスポールJr./元きよし(原嘉孝

  発光する人間を、久し振りに見ました。原嘉孝くん、リアルなエピソード含め光の子供すぎた。本当にみんなアフトのレポとか漁ってくれ頼む。そんなにヲタクじゃない私のTLに流れてきた光エピソードだけでも「誕生日を祝われて号泣」「いのうえ神に自分を選んでくれて正解と言った」「稽古中から千秋楽が訪れることに凹んでいた」「徳永くんに対して甘えんぼでめっちゃ仲良し」など可愛いものばかりなんですよ。でも最強に好きだったのは浅利くんのブログに書かれていたこれ。

原嘉孝くん、初めて共演しましたが、
とっても、一生懸命レスポールJrと向き合ってます。
楽屋や廊下で芝居で歌う歌の練習をしてるんですが、
マックス音量で歌うので、度々びっくりします。
楽屋で席が隣なので、もう慣れましたが笑

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 マックス音量wwwwwいや、可愛すぎない!?どんだけ一生懸命なの!?でもそのマックス音量練習Ⓒの甲斐あってか、ガンガン歌が上達していったとこまで含めて光の子供だった。上達っていうのもシンプルなピッチとかの安定もあるけど、それ以上にソロ曲1曲目と2曲目のバランスがどんどん良くなったのが印象的だったなぁ。最初は1曲目に全力出しすぎて後半のインパクトめっちゃ薄かったんだけどぐんぐん改善して。ジュニアが輝いていたのも本人の真っ直ぐで光属性な部分が出てたんじゃないかなぁ。真面目で本当に頑張り屋さんだったっていうのがぐんぐん磨かれる姿から見てとれて。というか、あまりにも光輝いているから夜道でカナブンとかたからないか心配だぞ、原嘉孝!!!

 なんというか、ジャニーズJr.の子ってどうしても「後がない」をファンも本人も背負ってるんですよね。いつお上に嫌われて干されるか分からない。正式契約じゃないから明日にだって顔を見れなくなるかもしれないし、ファンにも辞める告知が基本はない。だから本人もファンも目の前の仕事への賭け方が狂気じみていて大好きです。(褒めてます)正直、売れ行きが悪かったdisc2のチケットの後追い売り上げを支えていたのは、多ステ勢がとても多かった原くんのファンだと思う。本人のがむしゃらな本気にファンが応えている感じがとても好きだった。本人もファンも幸せになってほしいです。絶対に演劇を続けてほしい人。いや、どの立場の人だよ。

 

グレコ/マグダフ浅利(浅利陽介

 いやあ、前半と後半で私は一番印象変わったのこの方なんですけど!?前半、ほんっっとうに塩をひとつまみしか入れてない塩ラーメンみたいで、何の味もしなかったし記憶にも残らなかったんですけど、ぐんぐんダシが出て最終的には醤油ラーメンでした。あっさりだけどコクがある。とある方のツイートで見掛けた言葉が一番しっくりきていて「浅利くんは映像のお芝居だ」っていうやつなんですけど。そうなんですよ、前半は双眼鏡を覗いてフレームに入るとああ、って感じだったんだけどとにかく全体を見渡したときに印象が入って来なくて、テレビ用の繊細なお芝居だったのかなぁって今は思います。それがどんどん周りを吸収して目を惹くようになった気がする(知らんけど!!!!!)細かく素早い、小さい者ならではの強バネな殺陣が好きでした。

 

グレコ夫人/シマコ/林(高田聖子)

 聖子さんがいるとじゅわっと私が感じている新感線らしさのエキスが染み出るようでホッとしました。個人的には死骸を渡すときの表情がぐんぐん研ぎ澄まされて入って、見ているのがつらかった…ふざけた台詞の皮を被ったヘビーな台詞。聖子さんに毎度ぶつけられて瀕死でした…。

 

村木/医者(村木よし子)

 新感線エキスをじゅわっと出してたもうひと方。魔女のうるささ、安定で本当に好きだった…。絶対に女医だと思ってたのに、見事な老医師が出てきたのには本当にびっくりした…!何と言うか、年齢が行方不明な人は多いけど、よし子さんは性別が行方不明でめちゃくちゃ凄腕を感じました(笑)

 

こっからちょっと一緒くたゾーン

 マーシャルとローマン、二人とも顔面が良くて本当に顔面力の強いdisc2だった…。特にローマン役の常川藍里くんは月髑髏荒武者隊で一番キュートだった方で、あらためてその身体能力の高さに目を奪われた…。老婆だったエマさん、普段の美貌が完全に隠れていて役者さんはすごいなぁ。アンサンブルの鈴木悠華さんがとてもとても大好きだった。そもそも気の強そうな顔をした女の子が笑うとくしゃっと笑顔になるのに弱くて、さらにピンッとした溌溂ダンスが好きでした。レスポール王とのセクハラ芸も笑ったなぁ。ぷんすこする鈴木さん可愛かった…。そして上弦のヲタクが大好きなトーカイ役のしんぺーさん!声が大好きで、気持ちの良いタイミングであの声がスコーンと飛んでくるの好きだったなぁ。まんまるほっぺたがなくなってしまったから、早く戻ってください…。ヤマハ役のインディさん、小道具の変更こなしながらの出演、相変わらず過労死しないことを祈ってました…!

 

徳永君(徳永ゆうき

 いやちょっと別で切り出したいくらい本当に凄かったし偉かったと思うんですよ。disc2が亜種であることの50%くらいを演歌歌手である徳永くんが担っていたと思っていて、初演も含め全てベテランでありしかも「正当なメタル歌手」である冠くんがやっていた役を、齢23歳の徳永くんが演じるってきっと物凄くプレッシャーだったんじゃないかなぁって。そのプレッシャーを跳ね除けて、亜種であるdisc2が亜種であるアイデンティティをしっかり確立できたのは、徳永君の存在が大きかったんじゃないかと。ほのぼののんびりした優しい歌声が、攻撃的で極端な登場人物が多いdisc2での癒しでした。きっと本人の愛されキャラが歌にも映し出されてるんでしょうね!

 

 エクスプローラー/バンクォー岡本(岡本健一

 申し訳ないけど最後まで解釈違いだったローラ!!!(笑)まあ、これに関して言うと私が橋本じゅんさんのローラのモンぺが過ぎるせいが大きいと思います…無念。

 でも、ローラということを抜きにすると、岡本健一は本当に恐ろしく色っぽいおじさんでとんでもなかった。あと、ギター弾けるローラ、斬新すぎだしめちゃくちゃカッコ良かったな…歌のフェイクもエロティックで美しくて、普通に岡本健一様単体は凄く美味しく戴けました…。

 

レスポール王/元社長(木場勝己

 ギター弾ける王様、めちゃくちゃ最高だった…。あと歌声がすんごい甘いの…甘いから恐ろしさを込めた時に際立って。いやぁ、ギター弾けるのに驚きすぎて木場さんのプロフィールを見たら「特技:ギター・乗馬」とありましてね…いや、レスポール王似合いすぎじゃない!?!?あの世界ではバイクなんでしょうけど、レスポール王が馬に乗っている姿は見た過ぎるなおい。

 

パール王/ナンプラー河野まさと

 多ステの原因はこの人です!!!!!自分のツイートを遡ると何度も「沼だから近付きたくない」を連呼していて、それなのにうっかり近付いてしまった……あとはお察しの通り、そこは沼でした!!!!!普段の情けなさや小者に一切蓋をして美しい王を演じられていた姿はもちろんなんですけど、同時に自由で良い意味でテキトーでコミカルなナンプラーと、遊びすぎな小学生男子丸出しの下手ギターを全部一緒に見られたのもいけなかった……魅力、全部乗せコースですやん!!!へいお待ち!!!とにかく河野さんが春巻きを食べる演技世界選手権で優勝しそうなことは分かりました。

 あんなにキリッと美しい清廉な王と遊びたがりなナンプラーをやりつつ、カテコ(および煎餅撒き)では究極に気配を消してしまうところが私はとても大好きです。役柄でだけ、饒舌に語ってくれる感じ。アフトで終わるとリセットされると言っていたからきっともう河野さんの中にパール王はいないんだろうけど、私は3月の39公演までパール王の美しい姿を追い求めたいと思います。きっと末永いお付き合いになると思うので、今後とも色んな姿を見せてください…!

 

 話し足りずに別記事で追記した。

shioring78.hatenablog.com

 

 

 ……以上、17,000字overです。相変わらず正気の沙汰じゃない。

 

 見る度に手厚く癒してくれたdisc1と違って、disc2ちゃん散々情緒を滅茶苦茶に殴ってくるからボッコボコになりながらひーひー言ってステアラ通ってたんですけど、私は元来ドМなので超楽しかったです。とても上弦の月*11を思い出しました!!!嵐のような激しさを持ち合わせ、あまりの極端さに人を選ぶdisc2だったけど、私は楽しめる人間で本当に幸福だったよ!!!

 

 というわけで、ステアラ育ちの金子みすゞ*12はdisc3を楽しみに待ちたいと思います!!!

(相変わらずdisc3の感想も【@40dokuro】でつぶやいていく予定です!)

*1:それはいいとしてもJR20時停止の日くらい払い戻しほしかったよ

*2:何でも無効化する魔法の言葉です。

*3:disc2エマさん演ずる老婆のお気に入りの台詞「1234やったぜ加トちゃん」です

*4:disc2におけるオリジナルポイント(?)変更点で最も大好き

*5:あとでこのことは触れたいジュニアの話

*6:家の風呂がコラーゲンの泉だと思われます

*7:乃木坂46松村沙友理ちゃん的な触覚です

*8:新感線のアクション監督であり、disc3に出演予定の役者・川原正嗣さん。修羅天魔の清十郎はリア恋枠と名高い。きゃー!折り鶴投げて―!

*9:中の人は「もしダメでもそのうち会社に戻れるやろ~」ってゆるい考えで会社を辞めて演劇人になったダメ人間です。好き。

*10:原ジュニア、体幹が強いってことは散々今までのブログでも言ってたんですけど最後まで回し蹴りのブレのなさが本当に最高でした

*11:「髑髏城の七人 上弦の月」にも散々情緒を殺されました

*12:みんな違ってみんないい